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2006年12月 3日 (日)

ペースメーカー

 世界陸上の代表選考会を兼ねる福岡国際マラソンが今日行われ、エチオピアのハイレ・ゲブレシラシエが2時間6分52秒で優勝した。
 日本人最高は、4位の奥谷亘で、世界陸上代表の切符を手に入れた。

 

 この大会でも当然の事ではあるが、三人のペースメーカーが31km過ぎまで選手たちを引っ張った。
 また巷ではペースメーカー不要論や疑問論が飛び交うのだろう(苦笑)

 はっきり断っておくが、私はマラソンにペースメーカーは必要だと思っている一人だ。
 ただ、同じマラソンでも「勝負」を重要視する大会と「記録」を重要視する大会の二種類があって、前者には必ずしもペースメーカーは必要ないが、後者には絶対に必要となる。
 前者の代表的なレースがオリンピックであり、後者の代表的なレースが今回のような選考会を兼ねるレースだ。
 二つの大会は異質であり、一緒に語る事はできない。

 

 オリンピックや世界陸上のマラソンでペースメーカーが用いられないのは、国ごとに出場枠が決まっているという事ももちろんあるが、どんな展開のレースになったとしても、どんなに凡庸なタイムで優勝したとしても、結果として勝てばイイわけだからペースメーカーを用いる必要が無いだけの話しだ。
 それなのに、これらのレースは権威があるレースだからペースメーカーが使われないのだと勘違いしている人も少なくない (^^;

 

 でも、今回の福岡国際もそうだけど、多くのマラソンの大会は、たいていオリンピックとか世界陸上などの選考会を兼ねている場合が多い。
 そういう大会では勝ったという結果以上に「タイム」が重要視される
 それはそうだ、たとえ優勝したとしても、タイムが平凡なモノでは、代表として送り出しても本番の大会で活躍してくれる実力があるかどうかが判断できないから・・・

 だから主催者は、この大会ではこのくらいのタイムで走ってくれれば代表としての力があるだろうという意味で「設定タイム」というモノを設ける。そしてその設定タイムをクリアしてもらえるレース運びをしてもらうために「ペースメーカー」を走らせるのだ。

 

 マラソンが他の陸上競技と大きく違う点は、レースによってコースや気象条件が違うので、単純にタイムだけでは選手の力量を計れない点にある。だから選手選考にはいつも疑惑が付きまとったりする(苦笑)
 そういう不透明な部分を極力無くすためにも、設定タイムは重要な意味を持ってくる。
 そうでないと、いろんな大会でいろんな着順やタイムを出した選手を、どのように比較して良いか判断できないから・・・

 

 よく言われる事だけれど、マラソンは「記録」以上に「駆け引き」がおもしろいわけだから、ペースメーカーは要らない・・・と。
 しかし、この考えは先に述べた「設定タイム」を無視した考え方だ。
 勝負を重要視するオリンピックでならそういう考えも通るだろうが、選考会を兼ねた記録重視のレースでは通らない。
 なぜなら、ペースメーカーが居ないとレースの序盤はたいていお互いに牽制しあってスローペースになるのが一般的だからだ。いわゆる「様子見」というヤツだ。
 力のある選手ほど後半勝負に出る傾向にあるから、終盤のために力を温存しようとして序盤は回りに合わせて省エネで走ろうとする。先頭で走ると風の影響もあって疲れるからなるべく誰かの後ろを走りたがる。
 こんなレースで出たタイムを比較しても意味が無いから、選考のしようが無い・・・ (^^;

 

 ボストン、ベルリン、ロンドンなど海外の主要マラソン大会ではかなり以前からペースメーカーが存在していた。これらの大会は純粋に「記録」を重視する大会だから、大会主催者は公式にペースメーカーを認め、レース前には一般にも設定タイムを公開する。

 日本の主要な大会でも、10年以上前からペースメーカーは存在していた。
 しかし、陸上には助力を得てはならないという規則があり、ペースメーカーがこの「助力」にあたるかどうかで意見が分かれ、日本陸連は長い間公にして来なかっただけだ。
 そして、陸連との相互依存関係にあるスポーツメディアもペースメーカーを「タブー」として扱い、現にそこに居る、そこで走っているペースメーカーを一般の選手として報道してきた (^^;

 しかし、国際陸連が2002年、助力ではないという見解を示したために、日本陸連も2003年の福岡国際マラソンから「記録挑戦への協力者」としてその存在を公表するようになった。

 

 ペースメーカーは、決して最近になって登場したものではない。
 ペースメーカーが前を走っているから最近のマラソンはおもしろくなくなったと言うのは大きな勘違いだろう。彼等の存在をはっきり伝えているかそうでないかの違いだけで、10年前のマラソンも現在のマラソンもやっている事は一緒なのだから・・・(笑い)

 最近になってやたらとクローズアップされるようになったから、見ている方に馴染みが無いだけなのだと思う・・・
 そして、マラソンという特殊な競技においては、その存在は不可欠である。
 決して、主催者側の「ヤラセ」のために走っているワケではないのだ・・・

 

 蛇足ではあるが、オリンピックの「ケイリン」でもペースメーカーが採用されていて、途中まで選手たちの前を走っている・・・ (^^ゞ

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コメント

同感です。
だいいち、福岡国際は海の中道を通る昔のコースのほうが格段によかった。風が強いから、絶対に記録はでないけど。でもどのマラソンも「選考レース」をうたったため、単純にタイムレースになったようなもので、季節感がなくなっていくのだなあと感じます。
マラソンの代表選考は、本当にプロの目が問われるのだろうけど、そのプロがいなくなった。もしくはプロがいたとしても、世の中の反論を受けて立って押し通せる人がいなくなった、ということなのでしょうか。

投稿: むうさん | 2006年12月 3日 (日) 18:13

 むうさん、どうもです (^^)/

 毎度コメント有り難うございます。
 プロの記者であり、実際に走って居らっしゃるランナーのむうさんのコメントは重みが違いますね、ブログの方も楽しみに拝読させていただいています (o^∇^o)ノ
 私のブログに、むうさんのブログをリンクさせていただきました、今後ともよろしくお願いします。

 お友だちの、きのっぴさんの成績はいかがだったのでしょう、よろしくお伝えください (^^ゞ

投稿: 夢見るピーターパン | 2006年12月 3日 (日) 19:26

飲み会のペースメーカーに適任では?
負けへんど~! (^_^)v

投稿: タマパパ | 2006年12月 4日 (月) 20:42

 パパさん、どうもです (^^)/

 お酒は大好きなんですが、体質的にそれほど強くないので、宴会のペースメーカーはパパさんにお任せします (o^∇^o)ノ
 でも、パパさんはお酒飲めなかったんじゃ・・・(笑い)

投稿: 夢見るピーターパン | 2006年12月 4日 (月) 21:21

私のブログにもリンクをはらせていただきました。
クラーク・ケントなんて、かなり光栄です。
妻も笑っていました。
きのっぴちゃんは37歳で、ベストは2時間44分台。
福岡は残念ながら、「DNF」(途中棄権)のようでした。

投稿: むうさん | 2006年12月 5日 (火) 01:24

 むうさん、どうもです (^^)/

 他人がやっているスポーツを見るのはけっこう好きで、ロードレースなんかは特に好きなクセに、自分が走るとなるととてもとても・・・ (^^ゞ
 いつもテレビの画面で走っている選手たちの姿を見ては、ナンだカンだと言いたい放題言いながら楽しませてもらっているだけです(笑い)

 きのっぴさんは途中危険でしたか・・・ (^^;
 当日はかなり気温の方も低かったようなので、そういう影響もあったのかな・・・
 それでも、そういうメジャーな大会に出場できるだけでも凄いなぁと、私なんかは思っています。

 奥さん共々ランナーだという事で、楽しみを共有できるむうさんが羨ましいです (^_^ゞポリポリ

投稿: 夢見るピーターパン | 2006年12月 5日 (火) 09:14

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