忠臣蔵
今日14日は、旧赤穂藩士の吉良邸討ち入りがあった日として、日本人の間では比較的有名な日だ。もっとも、当時は旧暦だったので、新暦だと翌年の1月30日・・・それも明け方という事で、正確には1月31日の未明になるそうですが (^^;
毎年、この時期になるとテレビドラマや映画でも、赤穂浪士の討ち入りを題材としたモノが放映されるなどして、風物詩の一つになってしまっている・・・
また、東京高輪に在る泉岳寺は、浅野内匠頭と赤穂浪士が葬られていることで有名で、現在でも多くの参拝客が訪れ、線香の煙が絶える事は無いとも言われる。
泉岳寺では、討ち入りの日に合わせて、義士祭が毎年催されている。
とかく、日本人には大人気の「忠臣蔵」ではあるが、これはあくまでもフィクションであり、史実ではないという事を多くの日本人は忘れてしまっている・・・ (__;)
いかにもそういう事が過去に有ったかのように錯覚してしまっている人達が多すぎる・・・
ちょうど、熱海サンビーチに在る「お宮の松」の前で、ここで貫一がお宮を蹴った・・・などと言っているのと同じように・・・ (^^;
「忠臣蔵」はもともと「仮名手本忠臣蔵」と呼ばれ、元禄赤穂事件を取材した並木千柳等が書き下ろした人形浄瑠璃の代表的演目だった。
史実を基にしてこの物語が書かれた事も有って、設定や展開にいかにも取って付けたような大仰なところも少ない事から、当時から庶民にはウケが良く、それが今日まで延々と上演され、支持されている所以なのだろう。
しかし、私はこの忠臣蔵にはいささか懐疑的だ (^^ゞ
たいてい、浅野内匠頭が善玉、吉良上野介が悪玉として描かれる事が多いが、この設定は見ている方にわかりやすくはあるが、私にはいささかムリがあるように思う(笑い)
敵役として悪名高い吉良上野介ではあるが、名君としての記録も少なくなく、むしろ領民からは慕われていたようだ。
一方の浅野内匠頭はというと、あまりイイ話は残っていない (^^;
女好きで短気な暴君だったとも伝えられ、亡くなった事を知った領民たちは赤飯を炊いて祝ったなんて記録さえ残っているほどだ (^^;
どこまで本当の事なのかは知る由も無いが、浄瑠璃の演目として、客ウケするようにおもしろおかしく話を作り上げたという事は、十分に有り得る事だ。
・・・で、中心蔵のネタ元となった「元禄赤穂事件」に対する私の見解であるが、世間知らずのワガママな若殿が、作法を覚えられずに癇癪を起こして刀を振り回し、年寄りに傷を負わせた挙げ句、罪人となって罰せられ、それを逆恨みした家来たちが大挙して被害者の年寄りの寝込みを襲った・・・というものだ。
この事件の被害者は、浅野内匠頭ではなくて、むしろ敵役として描かれている吉良上野介だったように思う。
その方が事件前後の人間関係も自然で納得がいく・・・
脇道に逸れてしまったようなので、話をフィクションとしての忠臣蔵の方に戻そう。
忠臣蔵は人気演目なので、これまでにも何度も芝居や映画などで繰り返し上演されてきた。そして多くの役者たちがそれぞれの役を演じてきた。
そんな中で、私がこれはと思う作品が有る。
1999年にNHKで大河ドラマとして放送された「元禄繚乱」だ。
このドラマの素晴らしいところは、そのキャスティングにあった (^^)v
大石内蔵助を演じたのは中村勘九郎(現中村勘三郎)
吉良上野介は石坂浩二
そして浅野内匠頭は東山紀之だった。
大石内蔵助というと、討ち入りのメインになる人物なので、長谷川一夫や高倉健などのようなアクの強いリーダーシップに富んだ役者が演じる事が多かった。
しかし、それでは芝居はおもしろくなるだろうけど、「昼アンドン」と呼ばれていた内蔵助のイメージとは程遠い・・・ (^^;
今までに見てきた忠臣蔵の中では、中村勘九郎の大石内蔵助が一番適役で、はまっていたように思う。
勘九郎の風貌といい、どっち付かずで煮え切らない態度といい、深慮遠謀でいかにもタヌキらしい行動といい、見事に内蔵助を演じ切っていたと思います。
最高の「昼アンドン」ぶりでした(笑い)
また、内匠頭を演じた東山紀之も、世間知らずで神経質そうな若殿ぶりをしっかり演じていましたし、上野介を演じた石坂浩二も、人の良さそうな人間臭いところも垣間見せてくれていました。
そういう意味では、一番史実に近い「忠臣蔵」だったのではないかと私は思っています (^^)v
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コメント
「元禄繚乱」よかったですよね。
このころ、仕事が忙しく完璧には見られませんでしたが。
ぼくの永遠の「忠臣蔵」は1975年の大河ドラマ「元禄太平記」。石坂浩二が柳沢吉保、江守徹が大石内蔵助、関口宏が堀部安兵衛、そして中村勘九郎が大石主税。なかなか面白いですよね。
もしや、と思って調べてみたら、「元禄繚乱」の大石主税役は中村七之助でした。
NHKも粋なはからいを。
個人的には民放であったビートたけしの大石内蔵助も好きでした。
投稿: むうさん | 2006年12月14日 (木) 07:53
こんにちは、久々にコメントさせていただきます。
元禄赤穂浪士事件はフィクションが多すぎて、混乱しますよね。
今日は吉良さんのふるさとで法要が営まれているんですよね。
私は吉良さんが名君だったってこともそうですが、やはり吉良邸討ち入りを見事に成し遂げてしまった大石内蔵助があっぱれと、言いたいですね。
当時の江戸はいくら外堀より外(そこに住まいを移された吉良さん哀れ)でも今で言う交番のようなものが何百メートル置きに配置されていたり(番人の見てみぬ振りや水路を使ったとか諸説…)、吉良側だってそれなりに警戒はしていたはず…ましてや実息の上杉もついていながら、吉良邸までちゃんとたどりつけてしまった事だけでも不思議ですが。討ち入りの際の鎖帷子の装束と言い、3人一組のフォーメーション等々は大石側が誰一人死者が出なかったことなどから考えても、相当戦術に長けていたお人なんでしょうね。戦国時代の軍師だったら相当の功を得ていたかも知れませんね。
まあ浅野浅野内匠頭が事件を起こさなければ大石さんも「昼行灯」で終えられたのに、誰も浪人にならずに済んだのにとは思いますがね。
赤穂浪士が切腹の際に作法を知らなくて手ほどきを受けていたとか、実際は刀をお腹に当てただけで、介錯したみたいですが、真の武士の時代は終わってる感じ…(何人かは止める間もなく本当に切腹をしたらしいですね、武士の一分ですか)
四七士は良く討ち入りまでの年月を耐えて武士の一分を果たしたと思います。
まあ多分バブリー元禄と言う時代じゃなければ起き(成功し)なかった事件なのでしょうね。
投稿: すけやん | 2006年12月14日 (木) 17:11
むうさん、どうもです (^^)/
忠臣蔵といえば「勧善懲悪」的な描き方をする作品が多い中で、元禄繚乱は切り口が斬新で気に要っていました。
上野介を悪人として描いておらず、討ち入りも仇討ちではなくて幕府への抗議という設定でした。
大河ドラマは大好きで、毎年欠かさずに見ているんですが、それもここ10年くらいのもので、それ以前は気に要ったものだけを選んで見る程度だったので「元禄太平記」は記憶にありません、残念ですが。 (^^ゞ
投稿: 夢見るピーターパン | 2006年12月14日 (木) 19:36
すけやん、どうもです (^^)/
この手の話題にコメント頂けるとは恐縮です (^.^ゞポリポリ
元禄という時代が討ち入りを成功させてしまったんだと思います。誰も本当の意味での戦をした事がなく、江戸では庶民までも浮かれて暮らしていたようで、誰も本当に討ち入りなど有るとは考えてもいなかったんだと思います。
だから、警戒をしていたなんてのもただの形だけ・・・
用意周到な赤穂の武士たちに本気で討ち入って来られたら、吉良邸の武士たちはただ逃げる事くらいしかできなかったと思われます。
ただ、華やかだったのは江戸だけで、地方の諸藩は財政的に困窮していたようで、それがこういう悲劇を生んでしまった原因にもなっているように思います。
都市と地方との格差が広がっている現代も、元禄時代と似たような社会ナンじゃないかと思えてなりません・・・ (__;)
投稿: 夢見るピーターパン | 2006年12月14日 (木) 20:07
こんばんわ~
勘九郎(勘三郎)はいい役者ですよね~
渡辺謙の忠臣蔵も見てみたいですね~
筋書きは全て知っているのに何度みても飽きない
不思議ですね
投稿: タマパパ | 2006年12月14日 (木) 20:20
パパさん、どうもです (^^)/
忠臣蔵を演るとなると、どうしてもオールキャストになってしまいますからね、それが受ける要素の一つなんじゃないかな(笑い)
たとえば、登場人物の誰か一人にスポットを当てるだけでも新しいドラマが1本作れそうな気がしませんか (^^;
「堀部安兵衛の生涯」とか、「実録!不破数右衛門」とか・・・(爆笑)
投稿: 夢見るピーターパン | 2006年12月14日 (木) 21:38
「元禄繚乱」は、全く見ていませんでした。
当時そのようなドラマを放送していたという記憶はあります。
大河ドラマは戦国時代と幕末は視聴率がよいためか好んで取り上げますが、忠臣蔵など誰もが知っているものもよくやります。
またそのうち取り上げられるのではないでしょうか。
主役は、やっばりジャニーズかな。(笑)
投稿: メイの家 | 2014年12月20日 (土) 16:31
メイさん、どうもです (^_^)/
ジャニーズの面々はなかなかの役者揃いだと私は思っていますし、時代劇を演らせてもけっこうはまるんじゃないかと思いますねぇ (*^.-^*)♪
大河で戦国時代と幕末がよく取り上げられるのは、やはり傑出した人物が数多くいたためだろうと思います。
投稿: 夢ピ | 2014年12月20日 (土) 21:19