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2007年7月23日 (月)

職人気質

 新潟県中越沖地震の影響で、国内の自動車メーカーが操業停止を余儀なくされた・・・
 といっても、自動車の生産工場が新潟に集中していたわけではない。
 新潟県の柏崎市に在る、自動車部品メーカー大手の「リケン」が大きな被害を受け、各メーカーに部品の供給ができなくなったためだ・・・

 地震直後、リケンの工場内は、工作機械などが落下したり、ずれたり、工具や部品が床に散乱したりして、足の踏み場もない状態だったという・・・ 現場を目撃した従業員たちの中には、ここでの生産はもう無理なんじゃないかとさえ思った人も居たという・・・

 この危機的状況に、取引先の自動車メーカーや関連会社から、計700人もの大量の技術者たちがリケンに派遣されたという・・・
 清掃から始まり、機械の修理などの復旧作業を懸命に続けた結果、今日の23日から操業を再開したと報じられた・・・

 「プロジェクトX」風に言うと・・・
 日本中から、男たちが柏崎を目指した・・・
 胸には技術者としての誇りと熱意が燃えていた・・・
 男たちは、寝る間も惜しんで復旧作業を続けた。

 ・・・そして「リケン」は、蘇り、再び生産体勢に入った・・・

 中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」のエンディングテーマと共に、田口トモロヲの絶妙なナレーションが聞こえてくるようだ(笑い)

 ことばにすると、簡単に聞こえるかもしれないが、これは、日本の技術者だったからこそ可能だった事であり、海外では考えられない事だろう・・・
 なぜなら、自社が事故や災害で大きな打撃を受けたからといって、同業他社の人間の助けを借りる事は普通はありえない事だから。
 同業他社の人間という事は、言い換えれば競合している「ライバル」であり、そういう人間に社内の復旧作業を手伝ってもらう事は、自社は丸裸にされるという事であり、企業秘密などの一切が他社に筒抜けになってしまうという事である。
 普通なら、こういう事態は極力避けるのが一般的であり、そうなると、操業再開はいつになったかわからない・・・
 その間、自動車メーカーの生産もほぼストップしたままになるだろうから、損害は天文学的数字になったかもしれない・・・

 しかし、日本の技術者たちは、そういう目先の事にこだわってはいなかった。だから皆一丸となり、今日の生産再開に漕ぎつける事ができた。

 まさに、技術者魂を見た思いであり、喝采を贈りたい。


 かつての技術者や職人たちは、皆自分の仕事や技術に誇りを持っていた。
 それは、職人気質などと呼ばれ、尊ばれたものだった・・・

 しかし、時が流れ、今の技術者や職人たちは皆サラリーマンに成り下がってしまった (__;)
 今や、職人気質など誰も持ってはいないのではないか・・・


 例の、青色発光ダイオードで、開発者が発明への正当な報酬を求めて、開発当時の企業を相手に訴訟を起こしたことが話題になった事があったが、サラリーマン的な発想だからそういう事になるのであって、技術者としての誇りがあれば、安易に対価など求めるような事はないと私は思う。
 まぁ、こういう事になってしまった背景には、企業の技術者に対する冷遇もあった事は否めないが・・・ (^^ゞ

 今の日本では、技術者よりは営業職の方が優遇されているんじゃないだろうか。
 今回の件が、会社内での、技術者や職人達の地位向上を見直すきっかけにはならないものだろうか・・・

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