声援という名のイジメ
いよいよ、北京五輪のマラソン代表が決まった ヽ(^o^)尸
男子は、尾方剛、佐藤敦之、大崎悟史の3人、
女子は、野口みずき、土佐礼子、中村友梨香の3人。
まぁ、妥当な結果だと思う。
私が知っている中では、極めてマトモな選考結果だと思います。
それでも、不満がないわけではないけれど、今日はそういう事を語りたいワケではないし、私のヒイキの「微笑み尾方」と「サムライ佐藤」が選ばれているので、大満足です ヽ(^o^)尸
翻って、先日行われた名古屋国際女子マラソンですが、マスコミが描いた、高橋尚子の「復活V」というシナリオは無残にも散った・・・
高橋のゴールシーンは、テレビの中継枠にも入らなかった・・・
今日の記事は、Qちゃんのファンの方には厳しい意見になる事を前もってお断りしておきます。
私は、高橋の事を、特別好きでも嫌いでもないので、そういう視点からではない第三者の目から見た意見という事でお読み頂ければ幸いです。
名古屋国際で大惨敗をした高橋尚子ですが、ご存知のように、昨年11月の東京国際を回避、今年1月の大阪国際もエントリーせず、最終選考レースとなった名古屋国際に満を持して出場した。
普通に考えるなら、名古屋は2度も優勝しているゲンの良い大会なので、それでこの大会を選んだのだと推測ができるし、私もそのように考えていました。
ところが、実際には昨年の8月に右膝関節の半月板を半分切除する内視鏡手術を受けていた事を、レース後の記者会見で明かし、東京も大阪も、とても走れるような状態ではなかったという事で、最終選考となる名古屋に照準を合わせて調整して来たものだったという・・・
その名古屋も、練習不足と調整の失敗で、ほとんどぶっつけ本番のような状態での出場だった・・・ (ノ_-;)ハア…
高橋は記者会見で語った・・・「ここまで走れないとは思っていなくて、スタート地点に立つまでは優勝も頭に入れていた。自分でも不思議、夢かなと思います。体が動かなくて、おかしいなと思いながら走っていました・・・」
このことばがホンネなら、マラソンをなめるなと言いたい。
1月の大阪で見せた福士加代子同様、レースをするための心構えも、体の準備もできていなかったという事ではないか・・・
それとも、自分なら大丈夫だという慢心があったのか・・・
いずれにしても、アスリートとしては失格だ・・・ (__;)
・・・と、まぁ、一方的に高橋を責めるのは簡単なんだけど、今回のレースについては他に思う事もあるので、チョッと別の切り口で語ってみたいと思っています。
高橋くらいのビッグネームになると、自分の意志とは関係なく、周囲の雑音に振り回される事が少なくない。
おそらく、今回のレースについても、ファンやマスコミから「Qちゃん、Qちゃん」と持ち上げられ、本来なら名古屋も勝負できない事は十分わかってはいたものの、マスコミの描く「復活V」のシナリオに抗う事もできず、ファンからの声援も無視できず、仕方なく走らざるを得なかったという事は十分に考えられる事だ。
まして、以前のようにそういう雑音をシャットアウトしてくれるようなマネージャーも、練習を管理・指導してくれるコーチも居ない状況では、全てを高橋が自分で考え、一人で決断しなくてはならない・・・
今回のレース前、高橋の下にファンや関係者からお守りが次々と届けられ、その数は50個にも上ったという・・・
とても全部は付けて走れませんが・・・と高橋は語り、地元千葉の宗吾霊堂、三石山観音寺のものと、01年に死去した祖母の形見だけを身につけて走ったという・・・
ファンの気持ちを無碍にはできないと、高橋はいつも考えている。だから、勝負にならない事はわかっていても、自分を応援してくれるファンのためにも、名古屋は欠場する事はできなかった・・・というのが正直なところなんじゃないでしょうか。
当日の沿道でも、大勢のファンがぎっしりと並び、大きな声で声援を送ってくれる・・・
「Qちゃん、Qちゃん」「がんばれ、Qちゃん」と、大きな声で声援を送られ、全国の目がテレビを通じて自分を見ているとなれば、走っていて体調が悪くなったからといって簡単に棄権する事もできない・・・ (^^;
ファンの「声援」というのはとてもありがたいもので、アスリートにとっては大きな「励み」にもなり、「支え」にもなります。
しかし、時にはそれが「仇」になる事もあるのではないだろうか・・・
もちろん、声援を送るファン達にはそういう意識はないだろうけれど、ケガやスランプなどのアクシデントで声援に応えられない事がわかっているときには、普段は有り難いはずの声援も、耳にするのも辛い時だってあるだろう事は想像に難くない・・・
今回の、高橋に対する声援は、ある意味、ことばの暴力、言い換えれば、ことばによるイジメだったんじゃないのか・・・ (^^;
実際に、ファンの期待や声援に応えられないと、自らの命を絶ったランナーが過去に居た・・・
円谷幸吉、東京五輪で銅メダルに輝いた期待のルーキーは、次のメキシコ五輪に向けて日本中の期待を一身に背負い、「・・・幸吉はもうすつかり疲れ切つてしまつて走れません。何卒お許し下さい・・・」という、あまりにも有名な遺書を残して自殺する・・・ (__;)
故郷の英雄の突然の死に、小学生だった私は戸惑いました・・・
しかし、円谷の悲劇は、何も特別なものではない・・・
今回の高橋にしても、それと似たような危うさを感じてしまう (__;)
高橋は、現在35才、次の五輪であるロンドンでは39才となる事から、事実上、今回の北京が五輪への最終挑戦だったと言えるだろう。だからこそ、高橋自身も今回の北京にかける思いは一塩だったという事で、多少のムリは押しても、最後の最後である名古屋に出場する事を決めたのだろう・・・
でも、これで肩の力もとれて、高橋ももう少し気楽に走れるんじゃないかな。
何も、トップランナーとして走る事だけがマラソンではないと思うし・・・
ピークを過ぎてしまった高橋でも、あの人気とキャラなら、けっこう良い広告塔になると思うし、各地で行われるマラソン大会の招待ランナーとして走るのなら、まだまだいけるんじゃないのか (^^;
他のランナーならともかく、高橋あたりなら、これからはそういう生き方もあると思うよ (^^)v
というよりも、いつまでもトップランナーの座にしがみついているのは、生きの良い若手がどんどん伸びて来ている今、それほど意味のある事には思えない・・・
今まで10年間、ほんとうにお疲れ様でした・・・
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