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2009年1月14日 (水)

盗作

 1月9日付の読売新聞のコラムに、以下のような記事が載っていました。

 廃虚をテーマにした写真を巡り、写真家の丸田祥三さんが、写真家の小林伸一郎さんを相手取り、「撮影場所や構図をまねされ、著作権を侵害された」などとして、約630万円の損害賠償や写真集の販売差し止めなどを求める訴訟を9日、東京地裁に起こした。
 丸田さんは各地の「廃虚写真」を撮り続け、1990年代前半から発表。一方、小林さんも98年以降、廃虚をテーマとする写真を次々と発表している。

 という事で、新聞に載っていた写真が下の写真です。

 

20090114001_3 20090114002_2

 

 この写真は、「小林伸一郎氏 盗作・盗用検証サイト」というHPから転載させていただきました。
 管理人のお名前が見あたらないのがチョッと引っかかりますが、この写真の他にも何点も二人の写真を並べて検証しておりますので、参考になると思います。
 左側が丸田祥三氏が1990年に撮影して1993年に「朝日新聞」紙上に発表。1995年から「鉄道廃線跡を歩く」シリーズなどに収録されたもの。
 一方、右側は小林伸一郎氏が1995年に撮影して、1998年「廃墟遊戯」に収録されたものだそうです。

 

 写真に限らず、絵画でも書籍でも楽曲でも、芸術的な作品には「盗作」という問題は常について回ります。
 もちろん、「模写」とか「コピー」とかいう手法は、自身のテクニックを磨く上ではとても有効なものであり、芸術家なら誰でもそういう事をして一人前になっていくものであり、一概にダメだと論じることはできないわけですが、それらと「盗作」というのとは全く異質のものであり、同じに語る事はできないのです。

 

 「模写」も「コピー」も、最初から誰かの物真似だということはみな知っていることであり、例えば素人のバンドがステージなどで誰かの作品を演奏する事もあるわけですが、観客もそれが「コピー」だという事は当然知っているわけですから大きなトラブルになることはまずありません。
 しかし、「盗作」というのはそれらとは根本的に違って、誰かの作品を勝手に真似て自分の作品として発表することですから、悪質で許されることではありません。

 

 今回の訴訟で、丸田氏は「被写体となる廃虚を見つけるには、多大な時間と費用がかかるのに、小林さんが自ら発掘したかのように発表され、自分の写真の価値を損なわれた」というように語っている。

 これに対して小林氏は「写真とは、撮影状況や色の使い方など様々な要素により独創性が生み出されるもの。丸田氏の主張は、先に撮影した被写体を他の写真家は撮影してはならないというに等しく、断固として争う」と反論している。

 

 確かに、小林氏のおっしゃることももっともであり、例えば富士山をモチーフに写真を撮っているカメラマンはたくさん居るだろう。しかし、先人が撮った場所から同じような構図で富士山を撮るのは盗作だと言われてしまったら、後から富士山を撮った写真は発表することができなくなってしまう(笑い)

 ただ、そういう事を割り引いても、小林氏の写真には悪意を感じざるを得ない。

 

 同じ富士山の写真を撮っても、日付とか時間とか、あるいは写り込む自然の動植物や空などの様子によっても出来上がった写真は全く別のものになるだろうし、使う機材やテクニック等によってもずいぶん印象は違ってくると思います。
 また、富士山なんかの風景写真では、同じ場所から同じ構図で何年にもわたって撮り続ける定点撮影という手法が取られることがよくあります。

 そういう、写真家としてのアイディアとテクニックをフルに駆使して撮られた写真なら、たとえ同じ構図であっても盗作だなんて騒がれることは無いはずなんですよ。

 

 法廷での判断がどのようなものになるにせよ、盗作騒ぎが持ち上がった時点で芸術家としての信用は著しく損なわれてしまいます。
 場合によっては作家生命を絶たれてしまうことさえも十分にあることを考えれば、なんとも愚かな事をしたというか・・・

 盗人にも三分の理というか、きっとプライドは高いけど、志は低い方なんでしょうなぁ(苦笑)

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コメント

おはようございます
確かに、お互い写真家として仕事をされているわけですが、似た写真はいくらでも出てくるわけですが、この場合、知的財産と問えるかどうかですね。
しかし、お互いプロなのですから、素人の様な水掛け論は如何かと思いますね

投稿: お茶汲み坊主 | 2009年1月14日 (水) 08:14

 お茶汲みさん、どうもです (^_^)/

 写真は絵画と同じで、立派に知的財産ですよ (^^)v
 素人がスナップで撮った写真はともかく、少なくてもプロが構図を考えて撮った写真は芸術作品です。
 また、雑誌とか新聞とか、そういうメディアに載った写真にも著作権は当然発生しますから、知的財産ですよね (^^)v

 ただ、どのあたりからが盗作と呼ばれるのか、その辺の線引きは実に曖昧ですが・・・

投稿: 夢見るピーターパン | 2009年1月14日 (水) 09:35

写真は、いろいろな場面が変わっているので、絶対に同じってことは無いと思うので、盗作って言うのはどうかな~
そのコメントが同じだったら盗作ってことになるのかな。

投稿: すが太郎 | 2009年1月14日 (水) 23:36

 すがさん、どうもです (^_^)/

 絵画でも写真でもそうですが、全く同じという事はなくても、全体の構図とかが似ているのなら盗作という疑念がかけられる可能性はあります。
 実際には、本人しか本当のところはわかりませんが、黒でなくても、灰色でもいろいろと言われるのが芸術の世界だと思います。
 それだけ、オリジナルの作者は自身の作品に思い入れがあるということで・・・

投稿: 夢見るピーターパン | 2009年1月15日 (木) 00:09

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