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2009年11月10日 (火)

20091109001

 これは、エチオピアのマラソン選手であるアベベ・ビキラが、1960年のローマオリンピックで優勝した祭に語った言葉とされています。
 1964年に行なわれた東京オリンピックで優勝した時に語った言葉だともいわれていますが・・・ (^^ゞ

 

 東京オリンピックを知っている私らの世代には、絶大なヒーローだったアベベ・・・

 彼は、ローマ五輪の祭に裸足でマラソンに参加して、当時の世界記録を塗り替えて優勝したために「裸足の王者」とか「裸足の英雄」などとマスコミから呼ばれていました。
 当時は、アフリカの選手という事で、貧しくてマラソンシューズを買えなかったんだろうというような憶測も流れましたが、彼は軍人であり、階級も軍曹でしたから、お金に困っているわけではなく、当然靴を履いて走っていました(苦笑)
 しかし、ローマに入った時に、履いていた靴が偶然壊れてしまい、現地で靴を買い求めようと探したそうですが、自分に合う靴を見つけることができなかったために、やむを得ず裸足で参加したというのが真相だったようです。

 余談ですが、その翌年、つまり東京五輪の3年前になりますが、大阪で行なわれた毎日マラソンに参加するためにアベベが来日した際、鬼塚タイガー(現アシックス)の鬼塚社長がアベベの元を訪れ、裸足のように軽いシューズを提供するからぜひ履いてくれと説得し、アベベはオニツカ製のシューズを履いて参加、優勝したそうです。
 その後も鬼塚社長はアベベの元にシューズを送り続けたそうですが、東京五輪の祭にはプーマのシューズを履いて優勝し、そのことを後日聞いた鬼塚社長は苦笑いしたそうです(笑い)

 

 翻って、冒頭の「敵」ですが、スポーツに限らず「ライバル」と呼ばれる存在はどこの世界にもいて、よくインタビューなんかでも「尊敬する(目標とする)人は誰ですか?」とか「ライバルは誰ですか?」みたいな質問をしているのを見聞きすることがあります。

 好敵手とも呼ばれる「ライバル」の存在は、自分自身を高めていくためにも必要だと私は考えています。
 「アイツには負けたくない」という気持ちは、やはり競技を続けていく上での大きなモチベーションになることは間違いないと思うからです。

 

 しかし、それ以上に「自分に負けない」、あるいは「自分に勝つ」というのは、かなり難しいというか、意識の上ではかなり高尚なものだと私は思っています。

 例えば、競技中に、精神的に、あるいは肉体的に、「もうダメだ・・・」と心が折れそうになった時、もう一度気持ちを奮い立たせて競技に向かっていく事がどれほどキツイ事か・・・

 あるいは、去年の記録を上回りたい、去年の記録には負けたくないというような思いは、誰でも自然と持っているものだと思います。それが競技を続けていく上での成長の証しであり、モチベーションになっている事も多いと思います。

 しかし、競技を続けていれば誰もがぶつかるであろう「記録の壁」が必ず存在します。

 かつて、棒高跳びの世界にブブカという「鳥人」と呼ばれた男子選手がいました。
 彼は、現役時代に35回も世界記録を更新しています。もちろん、他の選手の記録を抜いて世界記録を樹立したこともあったわけですが、そのほとんどは自分自身の記録を超えていったわけです。

 現在でいえば、イシンバエワが女子の棒高跳びの世界で27回世界記録を更新しています(笑い)
 彼女もまた、自分自身の持つ記録と戦っている一人でしょう。

 

 ブブカもそうだったように、どんなに頑張ってもその壁を越えられない時、あるいは肉体的な衰えとか年齢的な問題とかから、現在の記録を維持していくことさえ困難になってきた時、「自分自身」が最大の敵になってくるわけです。

 「自分自身」に負けてしまった時、アスリートは現役からの「引退」を考えるのかもしれません。
 あるいは、「競技者」としてではなく、「参加者」として、さらに長く競技を続けていこうという「分岐点」になるのかもしれません。

 「参加者」として、記録を狙うのではなく、競技そのものを純粋に楽しむ事もアスリートとしては忘れてはならないことだと私は思っています。その延長として、監督やコーチなどの「指導者」という道も場合によっては開けてくるわけで・・・

 

 アスリートに限ったことではなく、人が人として生きていく上で「自分に負けない」という事はとても大事なことであり、負けてしまった人の中には自ら命を絶ってしまうような人もいないわけではありません・・・ (^^;

 そう考えると、人生とは、毎日毎日が負けることの許されない「自分自身との戦い」なんですかね(苦笑)

 

 これは後日談になりますが、冒頭の言葉を残したアベベは、大会2連覇の後のメキシコ五輪にも出場しましたが、この時には残念ながら途中棄権をしています。
 その翌年、アベベは交通事故を起こして下半身不随となってしまいます・・・

 しかし、車椅子姿ではありましたが、メキシコの次のミュンヘン五輪で開会式にゲスト出演したり、事故からわずか4ヶ月後に開かれたパラリンピックではアーチェリーと車椅子レースの2種目に出場したり、さらに71年には、ノルウェーで行われた身障者スポーツ大会の犬ぞりレースで優勝も果たすなど、不自由な体ながらもスポーツに懸ける情熱が衰えることはなく、生涯スポーツに関わり続けようとしていました・・・

 残念ながら、ミュンヘン五輪の翌年に脳出血により41才という若さで亡くなりましたが、彼の残した「最強の敵は、自分自身だ」という言葉通り、生涯自分自身と戦い続けたアベベは、アスリートとしても、人間としても、やはり超一流の人物だったと私は思っています。

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コメント

競争原理が働いていないために、今日のホークスのテイタラクがありますね。

投稿: ナンカイ | 2009年11月10日 (火) 18:18

 ナンカイさん、どうもです (^_^)/

 レギュラー争いとかポジション争いとか、あるいは懲罰交替とか、そういう「当たり前」の事がまったく行なわれていないのがホークスというチームですね(怒り)

 そういう、ぬるま湯の中に浸かっていても、成長はないんですよね・・・
 逆に、慢心がはびこるだけです・・・ (ノ_-;)ハア…

投稿: 夢ピ | 2009年11月10日 (火) 19:10

 ホークスの場合、コーチにも競争原理が働いていないわけですからね。フロントも然り。

 この球団は「JAL」化しています・・・。

投稿: ナンカイ | 2009年11月10日 (火) 20:30

 JALですか・・・ (^^;

 そうなると、再生への道は限りなく遠いですね・・・ (__;)

投稿: 夢ピ | 2009年11月10日 (火) 20:56

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