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2010年1月28日 (木)

八方美人・・・

 平野官房長官が、沖縄の普天間飛行場の移設問題について、25日に「選挙結果を斟酌していたら何もできなくなる」という趣旨の発言をし、それに続いて26日午前の記者会見では、「理解は求めなくてはいけないが、合意が取れないと物事を進められないものなのか。日本の安全保障にかかわってくる問題だ」と述べ、必ずしも住民の同意の必要性はないとの認識を示したと報じられ、この発言をうけて各方面から大きなバッシングをうけている。

 

 まぁ、沖縄の方々のお気持ちもわからないではないが、平野官房長官の発言はもっともなものだと私は思います。

 

 群馬県の八ツ場ダムについても同じだと思うのですが、どうも民主党という政党は、野党生活ばかりで政権を担った事がないから、何事についても及び腰の姿勢が見えて、もどかしい事この上ない。
 八方美人というか、嫌われる事を極端に恐れ、全ての人に気を使う事ばかり考えているのではないか。

 何事においてもそうですが、全ての人が納得する政策なんてあり得ないわけですから、誰かが犠牲になるとか、ことばが適切でなければ、不利益を蒙るとかはやむを得ないわけです。

 

 原子力発電所や葬儀施設、あるいはゴミ処理上など、迷惑施設と呼ばれるものの建設計画が持ち上がると、決まって住民達から建設反対の声が上がり、必要性は認めるものの、なぜ自分たちが住んでいるところに作られるのか、納得いかないから反対だという声が必ず上がる。
 しかし、そういう思いは誰しも抱いているわけですから、そういう人々の声にいちいち配慮をしていたら、日本中のどこにもそういう施設は建設できないという事になってしまいます。

 反対派の声を聞き、それに配慮をするという事は大事な事ではありますが、問題なのはそういう反対派の意見に振り回されて、計画が歪められたり頓挫したりする事があってはならないという事です。

 

 八ツ場ダムの場合、計画発表から実に60年近くも経っており、その間翻弄され続けた住民達の不満の声は当たり前といえば当たり前で、問題なのは、本当に必要なダムならとっくに完成していたはずで、難工事といわれたあの黒四ダムでさえ、計画発表から7年程度の年月で完成しました。
 八ツ場ダムが、なぜこんなに長い間かかっても、ダムの本体工事さえ始まらない状況なのかといえば、工事が長引けば長引くほど儲かる人が居るからで、そういう一部の人たちの思惑によって住民達が振り回され続けているからに過ぎないのです。

 

 必要ないものは、「たとえどんな理由」を付けたとしても、必要ないのですよ!

 

 そういう断固とした思いでダムの建設中止を進めていかなければ、この先何年経っても八ツ場ダムに関わる人たちは翻弄され続けるだけで、その方がどれほど悲惨な事か・・・

 前原国交相には、人気取りではなく、本当に必要な政策はなんなのか、そこのところをしっかりと弁え、例え悪人と呼ばれようとも国としての方向性を見誤って欲しくはないものです。

 

 翻って、沖縄の基地問題ですが、日本の国内に外国の軍隊が駐留している事自体がそもそもおかしな事だという事は誰でもわかっているはずです。
 しかし、アメリカが基地を手放したくないと思っている限り、日本のどこかに基地は在り続けるわけで、戦後、アメリカに占領された沖縄がその矢面に立たされ、返還後も延々と基地は存続し続ける事がアメリカの本音を雄弁に物語っているわけです。

 今回の普天間飛行場の移設問題でも、あくまでも「移設」であって、無くなるわけではなく、沖縄を含む「日本のどこか」に場所を移して存在し続けるという事実に変りはありません。

 それを阻止し、例え一つでも日本の国内から基地を無くそうと、民主党は決着期限を5月までとし、グァム移転も含めてアメリカと水面下で交渉を続けているわけで、決して問題を先送りしているだけでも、閣僚の発言が不一致なわけでもないと私は思っています。

 

 住民達を始めとする全ての声を聞き、その声を尊重し、それを政策に生かす・・・
 いかにも民主主義を貫いているようにも見えますが、単に優柔不断なだけともいえなくはありません。

 本当の優しさとは、あちらもこちらも立てようとする事ではなく、たとえ住民の方々には残酷な決定になろうとも、大ナタを振るいスパッと英断を下す事にあります。少なくても、私はそのように思っています。

 もし、移設先が決まらず、問題がず~っと店ざらしになってしまったとしたら、八ツ場ダムの二の舞で、その間住民達は苦しみ続ける事になってしまいますから・・・

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