支那そば
かつて、「支那そば」というメニューがありまして、私なんかも子どもの頃に食べた記憶があります。
なんてことはない、普通のラーメンの事なんですが、今でも屋台などのノレンとかのぼりとかに書かれた「支那そば」という文字を目にする事は少なくありません。
現在では、「中華そば」と言い換えられて用いられているのが一般的なので、「支那そば」=「中華そば」という事になるワケなんですが、そういう事情を知らない方の中には「支那そば」というと、なんか「昔ながらの」特別なラーメンというイメージをお持ちの方もお出でのようで、なんとなく昔懐かしい、サッパリしたしょうゆ味で細麺の、独立したメニューだと思っている方も少なくないのかな(苦笑)
「支那」というのは、戦前から使われてきた中国を指すことばで、私が中学生だった頃でも、歴史の教科書の中には「支那事変」などということばが載っているほど一般的なことばだったわけです。
しかし、辛亥革命を機に「中華民国」が建国され、「中華人民共和国」となるにあたり、中国政府から日本に対して「支那」という名称の使用を止めてほしいという非公式な通達があり、これをうけて当時の政府が1946年に使用自粛の通達を出して今に至ります。
「支那」ということばには、中国に対する差別的なニュアンスが含まれている事から、次第に言い換えが進んでいき、現在ではほとんど目にする事はありません。
代表的な言い換え例は、タイトルにも挙げた「支那そば」→「中華そば」や、「シナチク(支那竹)」→「メンマ」が有名ですが、前述した「支那事変」も、「日華事変」あるいは単に「日中戦争」と記述している教科書が主流のようです。
今現在でも公に使用している例外の一つとして、「東シナ海」というのがあります。
かつては漢字で「東支那海」と表記していたのですが、いつの間にかカナで「東シナ海」と表記するようになりました (^^;
漢字からカナに変わったからといって、差別的なニュアンスが無くなったわけではありませんから誤魔化しといえばそれまでであり、英語で「East China Sea」という事から「東中国海」というさらなる言い換え案を検討中という話しもあるそうです。
いずれにせよ、「支那そば」という名称は、特別な理由とか思い入れとかがあるのならともかく、積極的に用いるようなものではないと私は思います。
こういう事を言うと、中国の圧力に屈したとか、史実を誤認しているとか、いろいろとおっしゃる方も少なくないのでしょうが、そういう事とは別に、相手の嫌がる事はしないというのは、対人関係の基本であり、マナーの問題です。
ですから、「支那」ということばを用いないようにしようという事は、決して歴史を誤認しているとか、弱腰の外交姿勢だとかいうわけではないと私は思っています (^^)v
| 固定リンク
コメント
ゆめさん、大人の意見ですね。
思わず、「しなそば」是認なのかと思って読み始めてしまいました。
ところで「中華そば」って、共産党政権的にはオッケーなんでしたっけ。
投稿: むうさん | 2010年1月25日 (月) 02:01
むうさん、どうもです (^_^)/
「中華」は、中華思想に基づく名称ですから、使用に対して中国が異を唱えるとは考えにくいと思います。
実際、「中華そば」に対して中国政府がクレームを付けたという話しは聞いた事がありません (^^ゞ
投稿: 夢ピ | 2010年1月25日 (月) 07:45