パーマ屋ゆんた
最近、ラジオでよく耳にする曲の一つに、BEGINの「パーマ屋ゆんた」という歌があります。
ちょうど、今時分の人間模様をモチーフにした作品だからだろうか・・・
ご存じでない方のために、下に動画を貼り付けましたので、ぜひ一度お聴きになってみてください ( ^-^)/ ♪
BEGINの歌というのは、例えば「涙そうそう」だったり、「島人ぬ宝」だったりと、お気に入りの歌はいくつもあるけれど、この「パーマ屋ゆんた」はそういう作品ともチョッと違い、なんというか、身につまされて、聴いているうちにちょっぴり「切ない」気持ちにさせられてしまいます・・・
赤ん坊の頃から髪を切ってきた近所の女の子が、今はキレイな女子高生に成長し、明日は内地の大学に旅立つので、馴染みのパーマ屋さんに寄っておめかしをしている・・・
そんなお店の中の二人のやり取りを歌い込んだこの歌は、本来なら、よく知っている近所の子供の巣立ちを祝う、おめでたい内容なワケだけれど、聴いていてもそんな晴れやかな雰囲気は伝わってきません・・・
私は、離島で生活したことはありませんが、「陸の孤島」とも呼ばれていた、会津のかなり奥深い山村で生まれ育ったこともあり、おそらくは似たような環境なのではないかと勝手に思ってこの「パーマ屋ゆんた」を聴いています (〃⌒∇⌒)ゞ ♪
私の村にも、隣町の高校の分校が存在しましたが、私が中学生の時には廃校が決まり、募集が打ち切られました。
そんなワケで、中学を卒業した生徒たちは、進学のためにほとんどが村を離れ、近隣の市や町で下宿生活をする事になります。
一部は、バスに乗るかバイクを買ってもらって、自宅から隣町の高校に通う生徒も居たりしますが、それでも冬期間は雪に閉ざされることもあって、下宿生活を強いられるのが普通です。
私も当時、越境入試を受けてまで、喜多方市に在る高校に入学し、学校の近くで3年間下宿生活をしました。
そんな環境で生活していると、進学のために故郷を離れるということは、単に晴れやかな思いばかりではなく、見送る人達は「別れ」の淋しさを味わうことになります・・・
故郷を後にした彼等が、再び故郷に戻ってくる事はないだろう事を知っているからです・・・
高校や大学だけではなく、仕事も生活の場も、どこか別の地に求め、故郷に帰ってくるのは、お盆とかお正月などに限られてしまうだろうという事を・・・ (__;)
そういう私自身も、中学を卒業して、進学のために故郷を後にして、もう37年も経ってしまいました・・・ (;^_^A アセアセ・・・
年に2~3度帰省することはありますが、もう、故郷で暮らすことは無いと思います・・・ (__;)
おそらく、この「パーマ屋ゆんた」で歌われている舞台は、沖縄県の八重山諸島のどこかだろうと推測がつきます。
というのも、この、タイトルにもなっている「ゆんた」ですが、八重山地方に伝わる労働歌の総称ということで、「結い歌」あるいは「読み歌」が語源になったものといわれています。
労働や恋愛をモチーフに歌われる「ゆんた」は、歌の合間に入る「合いの手」というか「かけ声」というか、そういうお互いの掛け合いが一体となって一つの歌になります。
この「パーマ屋ゆんた」でも、「ゆいさ~」とか「さ~さ」などの掛け合いが入っており、この作品の大きな特徴になっています。
「明日は内地に行くんでしょ」
「合格祝いもあげんとね」
「寮があるなら安心さ」
「父ちゃんはなんて言ってるの?」
「赤ちゃんだったよ初カットは」
「今でも指が思い出すさ」
「母ちゃんがカーラーを巻いてから」
「待ってる間にチョッキンね」
・・・・・・・・・
こんなふうに、椅子に座った女子高生に向かいながら、小さかった昔のことを思い出しながら、やさしく語りかけつつ手を動かすパーマ屋のおばちゃんの、言いようもない淋しさが歌から伝わってきます・・・
「色をぬいても重ねても」
「髪の根っこは染まらんさ」
「髪は切ってもそろえても」
「同じようには伸びないさ」
おそらくは、作詞者がこの歌に込めた「思い」はこの部分なのではないだろうか・・・
いくら髪の毛を染めたり、脱色したりしようとも、「髪の根っこ」・・・この場合はその人自身の本質というか、人間性のようなものだと思うのですが、それは変らない。
言い換えれば、どこでどんな人生を送ろうとも、アンタはどこまでも八重山の人間なんだよと言いたいのでしょうか・・・
また、いくら髪を切りそろえても、伸びてくるときにはそれぞれがバラバラなように、回りの人たちに混じって、彼等と同じように生きようとしても、一人一人にそれぞれの人生があり、同じ人生は歩めない。
つまり、八重山で生まれ育った人間は、どこまでいっても、八重山の人間なんだから、故郷に誇りを持って生きるんだよ・・・みたいな意味に、私は思えるのですが (^_^ゞポリポリ
「だからパーマ屋があるわけさ」
ここまで聴いてくると、この「パーマ屋」ということばですが、単にお店のことを言っているのではなく、暗に故郷である「八重山」の事を指して言っているのではないかと・・・ (〃⌒∇⌒)ゞ ♪
「パーマ屋」を「八重山」に言い換えても、この歌の内容は変わらずに伝わってくると思いませんか?
「明日は内地に行くんでしょ・・・」
島に残される人達は、明日、どのような思いで旅立つ子ども達を見送るのでしょうか・・・
おそらくは・・・
成長を喜ぶ気持ちよりも、離ればなれになってしまう淋しさの方がはるかに大きいだろうと私は思います・・・
蛇足ではありますが、この「パーマ屋ゆんた」を加藤登紀子がカバーしていまして、個人的にはオリジナルのBEGINよりもイイ味を出していると思っています (^^ゞ
ちょうど、歌に出てくるパーマ屋のおばちゃんと加藤登紀子とが、重なって見えてしまいましてね、歌にピッタリではないかと (〃⌒∇⌒)ゞ ♪
加藤登紀子の動画も貼り付けてみましたので、合わせてご覧になってみてください ( ^-^)/ ♪
ショートバージョンですので、2分少々になっています・・・
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