宵越しの銭
「宵越しの銭は持たねぇ」というのは、江戸っ子のセリフとして有名ですが、多くの人は江戸っ子は気っぷがいいから、持っているお金はパ~ッと使うのが粋だと思っていたので、そのようなセリフを口にしたんだろうというように思っていますが、実はそれは大きな勘違いです。
現代と違い、江戸時代の頃の庶民には、お金を貯めようにもその手段が無かったので、有り金は残らず使ってしまった方が「得」と考える人が多かったためと思われます。
お金を貯めたくても、できなかったなどというと、なぜなんだろうと思われる方も多いと思いますが、まず、当時の住宅にはカギが無かったという事が挙げられます。
時代劇をご覧になった事のある方ならご存じだと思うのですが、就寝前などに、入口の引き戸に心張り棒をあてがって戸が開かないようにしているシーンをご覧になった方も多いと思いますが、アレは家の中に人が居るからできるわけで、外出する時にできる業ではありません。
なぜなら、表から家の中の戸に心張り棒をあてがうことはできないわけで、もし仮にできたとしても、今度は家人自身が外から戸を開けられなくなってしまいますから (^◇^) 。。。ケラケラ
で、当時の人は、外出する時に戸や窓にカギはかけずに出かけるのが一般的だったわけで、外出している間に泥棒にお金を盗まれる心配は常にあったわけです。
金庫のような防犯グッズもなく、たいていは床下とか天井裏とかにお金を隠すのがせいぜいだったとすれば、家の中にお金を残しておくことは危険極まりない所行だったというわけです。
それでも、奥さんが家を守っていてくれる場合には、一応、留守ではないわけですから、空き巣に狙われることはなかったでしょうが、居直り強盗のようなケースではどうしようもなかったと思われます (^^;
お金持ちなら、蔵のような頑丈な建物の中にしっかりした錠前をかけて保管しておくことも可能だったと思いますが、そういう場合にも、火事だけはどうしようもなかったわけで、「火事と喧嘩は江戸の花」ナンてことばが残っているほど、当時の江戸では火事が頻繁に起こったといわれています。
Wikipediaによりますと、関ヶ原の戦いの翌年となる1601年から、大政奉還の行なわれた1867年に至る267年の間に、江戸では49回もの大火が発生し、大火以外の火事も含めれば、1798回もの火事が起きたと記録されているそうです (^_^;
つまり、江戸市中では、二ヶ月に一度はどこかで火事が起き、半年に一度は大火があった計算になります w(゚o゚)W
木と紙でできた住宅ですから、火事が起きればひとたまりもなかったでしょうし、全財産が一度に焼失してしまうワケですから、そんな事になる前に使ってしまった方がマシだと考える人が多かったとしても不思議ではないと思います。
決して、江戸の庶民は、キリギリスみたいなその日限りの毎日を送っていたわけではなく、家の中にお金を残しておくことができなかったので、やむを得ず使い切ってしまうようにしていた・・・ と考えるのが妥当なのではないかと思う次第です (^_^ゞポリポリ
現代では、誰もがカギの付いた住宅に住んでいますし、普通は銀行のようなところにお金を預け、カードや通帳を使って、いつでもどこからでも出金できますから、江戸時代の人達が知ったら、ずいぶんと便利な世の中になったと羨ましがる事でしょうねぇ (〃⌒∇⌒)ゞ ♪
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