アイランド
2005年に公開されたアメリカの映画の一つに「アイランド」というSF映画がありました。
SFですから、あくまでもフィクションではありますが、実に良くできた映画で、現実味も十分にあると私は思っています (^^ゞ
内容をご存じない方のために、以下に簡単なあらすじを述べます・・・
大気汚染が広がり、地上に住む事ができなくなった近未来の人類達は、地下に巨大なシェルターを造り、そこに管理の行き届いた安全で快適なコミュニティを作って暮らすようになった。
しかし、閉鎖された空間ですから、人々の不満と退屈を紛らすために、しばしば「抽選」を行い、当選した人には「アイランド」と呼ばれる地上最後の楽園に行く事が許され、そこで生涯を送れるという特典が与えられる・・・
当然の事ですが、人々の夢は抽選に当たって、一日も早くコミュニティを抜け出し、「アイランド」と呼ばれている地上の楽園へ行くことでした。
実は、このハナシには裏があって、このコミュニティは保険会社が経営している「臓器提供会社」であり、中で暮らしている人々は全て、保険契約を結んだクライアントのクローン人間だった・・・というのがソレであり、抽選に当たるという事は、クライアントに何らかの不具合が生じた事を意味し、「アイランド行き」という名目のもとに抹殺されて、クライアントのために臓器を摘出されてしまう事だった (^^;
ふとした事で、その事実を知った主人公は、抽選に当たった恋人と共にコミュニティからの脱出を計る・・・
所詮は映画ですから、荒唐無稽の「作り話」くらいにしか思っていない人も多いと思いますが、私は近い将来に、規模の大小はあるにせよ、似たようなビジネスを行なうバカ野郎が必ず出現すると思っています。
人間というのは、「カネ」のためなら、どんなに悪い事でも恐ろしい事でも、平気でやってしまう、そういう愚かな生き物なのです。
例えば、人が人の命を奪い合う「戦争」は悪い事だと、世界中の誰もが知っていますが、現実には世界のそこここで「紛争」や「戦争」が絶える事はありませんで、毎日のように世界のどこかで正義の名の下に、公開殺人が繰り返されています。
どうしてなのかといえば、武器や兵器を作って売っている「死の商人」と呼ばれる人達が、自分たちの商圏を守るために戦争が無くならないようにと暗躍しているからであり、争いが無くなりそうな時には、もめ事が起こるように裏で画策する事も厭わないからだといわれています。
武器を売って儲けた莫大なカネで、政治家などの大物を裏で操って、戦争を仕掛けさせているからともいわれています。
「臓器売買」も、現実にはすでにビジネスとして行なわれているとウワサされています。
日本では、子供の臓器移植は認められていませんでしたし、可能になった今でもドナーが圧倒的に不足していますから、相変わらず海外で移植を行なう例が絶えません。
しかし、子供のドナーが不足しているのは日本に限った事ではなく、世界中で不足しているのが現実なワケですが、どういうわけか海外に行くと、待たされはしますが、手術まで可能になる事が少なくありません (^_^;
そこで、「臓器摘出を目的にした子供の人身売買が行なわれているらしい」というウワサがまことしやかに囁かれています・・・
主に、東南アジアなどから身寄りのない子供を引き取る手口で集められ、彼等から摘出した臓器で移植を行なっているのではないか・・・と。
病院なんていっても所詮はビジネスですから、きれい事だけで経営が行なわれているとは限らず、同じ移植手術を行なうのなら、出来るだけ高いカネを出してくれるクランケに臓器を回そうと思うのは自然なことではないかと思うのは私だけではないはずです。
しかし、そんな乱暴な手口を使わなくても、先日の「iPS細胞」から作られた「万能細胞」が実用化すれば、いくらでも精子と卵子が作れるわけですから、ブロイラーよろしく、臓器摘出を目的とした「ヒト」を量産して育てる施設が作られる事も絵空事ではないような気がします。
なにも、律儀に大人になるまで育てなくても、5年とか10年とかの期間を育てれば、十分に需要があるわけですし、非合法に作られた「研究用の生命」ですから、出生しても役所に届けられることもなく、人格を与えられる事のないままに闇から闇に「処分」されて、存在した痕跡も残らないわけです (^_^;
もちろん、非合法なビジネスだろうとは思いますが、カネが絡めばどんなに恐ろしい事でも「世のため人のため」などという「錦の御旗」を掲げて、平気でやってしまうだろうと私は考えています。
人殺しのための武器や兵器を作って売るよりは、困っている誰かを救う事ができるわけですから、たとえ非合法なビジネスであっても、罪悪感も少なく、むしろ使命感に駆られて一生懸命にやっちゃうんじゃないでしょうかねぇ・・・ (;^_^A アセアセ・・・
第一、そういう「臓器提供会社」が作られれば、臓器はもちろん、血液などもいくらでも採取できますから、献血なんてまだるっこしい方法でなくても、必要な時に必要な型の血液が、新鮮なまま必要なだけ供給可能になるわけです (^^;
ヒトに限らず、生き物の「生命」を作る事になんのためらいも罪悪感も感じない人というのは、遅かれ早かれ、必ずそういう「生物生産システム」を作り上げ、次から次に「生命」を作り、「ヒト」を生み出しては、ソレを「人」とは思わずに、平気で命を奪って「臓器」その他を手に入れようとするんじゃないでしょうかねぇ。
昨日の記事で語ったところの、「恐ろしい社会」というのは、つまるところそういう事です。
「世のため人のため」などという美酒に酔い、使命感から平気で「命」を作りだして名声を得ようとする人ならば、自ら作り出した「命」を奪うことだって平気だろうと私は思います。
今さらではありますが、「ノーベル賞」を考案したノーベル本人も、人の命を奪うためにダイナマイトを開発したわけではないわけで、土木工事がより効率的に行えれば「世のため人のため」になると思って、危険極まりない「ニトログリセリン」を、より安全に使えるように加工して、「ダイナマイト」として世に発表したわけですよ。
しかし、発明や発見というのは、往々にして開発者や発表者の意に反した使い方をされるのが常であり、科学者というのは名声だけでなく、そういうリスクや非難も、合わせて背負って行かねばならない責任があると私は思うしだいです。
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