弾丸登山
先日、世界遺産に正式登録された富士山ですが、それに先立つ6月5日、山梨県知事が弾丸登山の自粛を呼び掛けるよう、井手観光庁長官に文書で要請したと報じられた。
「弾丸登山」ナンてことば、初めて聞きましたが、「弾丸ツアー」があるくらいですから、「弾丸登山」があっても不思議ではないんでしょうけど、それにしても無謀というか非常識というか・・・ (ノ_-;)ハア…
「弾丸ツアー」は、サッカーの応援ツアーなんかでもお馴染みですが、ある一つの目的の為、現地へ直行し、目的を果たしたら観光も現地での宿泊もせず、機中泊や車中泊などでとんぼ返りする短期集中型の強行旅行です。
「弾丸登山」とは、富士登山の一つらしいんですが、前日の夕方から夜にかけてバスや車で五合目に集合し、そのまま徹夜で登山を続けた後、山頂付近で日の出を拝んでそのまま下山し、帰宅するという、0泊2日の富士登山を言うそうです (^◇^;)
この方法をとれば、都心などからでも土曜や日曜日を利用して富士登山ができるため、弾丸登山を決行する登山者は少なくないという。
通常ですと、途中にある山小屋に1泊し、2日かけて富士山に登るのが一般的だという事ですが、報道によると、富士山の年間登山者数は35万~40万人。
そのうち30%以上が弾丸登山を行なっているという・・・
この「弾丸登山」がいかに愚かで危険な行為かは、登山の経験者ならよくわかると思うんですが、暗い山中を歩き回るというのは、自殺行為にも等しい愚行であり、山をよく知っている登山家ならそういう危険を冒すはずはないんですが、どうも初心者というのは無知というのか、それとも恐いモノ知らずというべきなのか・・・ (ノ_-;)ハア…
いずれにせよ、個人が企てる「弾丸登山」なら自己責任という事でやむを得ませんが、ツアー会社が人を集めて行なうというのはいかがなものか・・・
当然の事ですが、富士山の弾丸登山の成功率は、山小屋に1泊して登山した人達よりも低いという事で、深夜に一斉に登山を始めても、途中で高山病などの体調不良を起こしたり、ケガをしたりして、結果的に山頂までたどり着けなった人というのは少なくないといいます。
だいたい、「登山」というのは行者の山行やトレーニングの類ではありませんから、そんなにせわしなく行なうようなものではなく、登ったり下りたりする時に眺める周囲の景色なんかも楽しみの一つだったりするわけですよ。
にもかかわらず、辺りが真っ暗な夜のうちに山道を登っても、夜空の星くらいしか見えませんから、登山の楽しみの半分を自ら放棄しているに等しいわけです。
そんなにしてまで、「富士山の山頂から日の出を見た」という事実が欲しいんでしょうかねぇ・・・
そんなのは、登山とはいえないんじゃないかな。
少なくても、高校時代に山岳部に籍を置き、部員達と和気あいあいと山登りをしたことのある私には、そう思えてなりません。
まぁ、そんなのは「弾丸登山」に始まった事じゃなく、一般の「旅行」でさえ今はそういう刹那的なのが主流のようですから仕方がないことなのかもしれません。
「旅行」というのは、誤解している人がほとんどだと思いますが、目的地に行って観光したり温泉に入ったりすることだけを言うわけではありません。
自宅を出たところから、帰ってくるまでの全てが「旅行」であり、場合によっては行き先を決めたり、宿の手配をしたり、そういう事前行動の一切合切を含めてが「旅行」のはずなんですが、移動手段も目的地が遠方だとたいていは列車より飛行機を使い、出来るだけ移動時間を切り詰めて、一刻も早く目的地に行こうとします。
それが悪いとか間違いだとか言うつもりは毛頭ありませんが、それだと移動中の思い出はほとんどできませんから、帰宅してからも「疲れた」という思いしか残らないんじゃないかな (;^_^A アセアセ・・・
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コメント
>この「弾丸登山」がいかに愚かで危険な行為かは、登山の経験者ならよくわかると思うんですが、
"富士山"の弾丸登山の経験者なら、この説明がいかに誇張されているかがわかると思うんですが、…
投稿: No Name | 2013年6月30日 (日) 21:19
どなたか存じませんが、私は決してそうは思いませんねぇ。
そういうふうに、「山」を甘く見た人が、結果として遭難のようなアクシデントに見舞われるわけでしょ。
山は、冬でなくても、夜でなくても、いつどんなふうに表情を変えるかわからない、コワイところなんですよ。
弾丸登山で、何事もなく登り下りできたのは、案外「幸運だっただけ・・・ 」くらいの謙虚さがあっていいんじゃないかと私なんかは思うんですが。
まして、富士山は日本一の標高を持った山です。
今日から富士山も山開きですが、物見遊山的な安易な考えで登山する観光客がいないことを願うのみです・・・
投稿: 夢ピ | 2013年7月 1日 (月) 06:19