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2014年11月11日 (火)

強行出場

フィギュアスケートのGPシリーズ第3戦・中国杯の最終日、羽生結弦がフリーの演技直前の練習中に他の選手と激突して負傷したにも関わらず、簡単な応急手当を受けた程度で、そのまま強行出場して演技を行ったというニュースが報じられた・・・

 

 この件については、賛否両論の意見があるようですが、私自身は絶対にあってはならない事だと思っています q(`o')ブー!!

 中には、「それでも滑った魂の舞い!」などというバカな見出しを付けているスポーツ新聞もあったりして、いったい何を勘違いしているんだろうと・・・ (ノ_-;)ハア…

 

 このニュースが報じられた時、真っ先に私が思い出したのは、
平成13年の夏場所、横綱貴乃花が最後の優勝を果たした、あの千秋楽の愚行だった。

 あの千秋楽の表彰式で、当時の首相だった小泉純一郎がアドリブで述べた「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!おめでとう!」ということばが流行語にまでなったが、私に言わせれば、あの強行出場は横綱としてはあり得ない行動であり、貴乃花については「横綱」の権威を貶めた史上最低で最悪の横綱という評価しかない!

 

 なぜそう思うのか、以下にその理由を述べてみたい。

 あの夏場所、初日から13連勝して、さすがは貴乃花という無敵の強さを存分に見せつけた。

 しかし、14日目の武双山戦に敗れた際に、右膝半月板を損傷する大怪我を負ってしまう。
 右足を地面に付ける事さえ困難なほどの重症であり、私はもちろん、武双山との取り組み直後の貴乃花の様子を見た観客は誰しも、翌日の千秋楽は休場するだろうと思ったはずです。

 もちろん、二子山親方を始め、大相撲の関係者は皆、貴乃花に休場を勧めたものの、石頭の貴乃花は頑として聞き入れず、千秋楽に強行出場してしまう・・・

 案の定、千秋楽はまったく相撲にならず、武蔵丸の前に自ら崩れ落ちて相星となり、優勝は決定戦に持ち込まれた・・・

 もはや誰の目にも、相撲どころではないのは明らかであり、決定戦は棄権するものと思っていたら、足を引きずりながらもまたまた強引に土俵に上がって来た貴乃花・・・ (゚◇゚;)!!!

 そして誰もが目を疑う、鬼の形相での上手投げ~・・・ となるワケですが、なぜそこまでして土俵にこだわる必要があったのか・・・ (ノ_-;)ハア…

 ケガをした14日目に、医療機関でしっかりした診察を受けるわけでもなく、テーピングくらいのいい加減な治療で、千秋楽の土俵に上がって相撲をとったことにより、貴乃花の右膝のダメージは致命的なものとなってしまう・・・ (__;)

 

 その結果、翌場所の名古屋場所はもちろん、秋場所九州場所初場所春場所夏場所名古屋場所と、7場所連続で全休するという、横綱としては前代未聞の不祥事を起こしてしまうことになる・・・
 もはや、大横綱としての面目はない、そこに居たのは相撲を取らずにだけ取るという、タチの悪い給金泥棒だった(怒り)

 そして、横審からの再三の出場勧告もあって、1年4ヶ月ぶりに秋場所の土俵に上がった貴乃花は、一応12勝3敗の星を挙げるものの、完治しないまま土俵に上がったことにより再び右膝の状態が悪化したため、翌九州場所をまたもや全休・・・ (ノ_-;)ハア…

 進退をかけて上がった平成15年の初場所では、中日までに途中休場を含めて4敗を喫し、9日目に現役引退を発表することになる・・・

 もし、あの夏場所の千秋楽を休場して、真っ直ぐ医療機関に向かっていたなら、横綱としてこんな汚点を残すこともなく、現役だってもっと長く続けられていたのではないか・・・
 今の白鳳とほとんど変らない、30歳という年齢を考えても、あの時の貴乃花の強行出場は、力士の取るべき行動としては明らかに間違っていたとしか思えない。

 言い換えるなら、あの時のたった一度の優勝と引き替えに、その後の相撲人生を全て投げ捨ててしまったといっても過言ではない!

 これが他の力士なら、たった一度の優勝だって死にもの狂いになるのかもしれませんが、貴乃花はすでに21回も優勝していたわけですから、あの場所の優勝にそれほどこだわった理由がわかりません。

 むしろ、千秋楽は潔く休場し、治療に専念して、しっかりと治してから土俵に戻った方が、さらに優勝を重ねられただろうと私は思うのですよ。

 

 翻って、今回の羽生の強行出場ですが、アスリートなら誰だって競技を続けたいと思うのは当然であり、多少のケガくらいでは「出たい」と直訴するだろうコトは容易に想像がつきます。
 しかし、選手自身の将来を考えた場合、周囲は冷静に怪我の状態を確認するべきであり、棄権も踏まえてアドバイスするべきだったのではないか、私はそう思います。

 まして今回の羽生の場合、頭を強打して出血し、氷上に倒れたまましばらく動けなかったと報じられています。
 すぐに動かす事はもちろんのこと、直後に激しい運動をさせ、5回も転倒させてしまったコトは、貴乃花の例を出すまでもなく、後に禍根を残しはしないだろうかと心配でならない・・・ (__;)

 

 それにしても、どうして日本人というのは「精神主義」に走りがちなんだろう・・・

 いわゆる、浪花節の世界ですね (ノ_-;)ハア…

 フラフラになりながらとか、怪我を押してとか、明らかに正常な状態でないにも関わらず、無理をして競技を続ける事を美化しがちなのはいかがなものかと・・・

 私が大好きな箱根駅伝なんかでも、脱水症状などでフラフラになり、正常な判断が出来なくなったような選手をいつまでも走らせ続け、それを延々と映し続けるテレビ局があったりしますが、最終的に途中棄権させてしまう事がほとんどであり、どうせ棄権せざるを得ないのなら、早めに選手を止めてあげる事が指導者としての責任であり、役目ではないのか、私は常々そう思っています。

 競技に関わっているものとしては、そこで競技を中断する事へのジレンマもあるのでしょうが、それはあくまでも選手を取り巻く周囲の都合であって、競技者自身の事を考えれば、どうすればいいのかは言わずもがなではないかと・・・ (^^;

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コメント

四年前の理事選と言い、ひたすら実直といいますか愚直な人なのでしょう。今の時代には珍しく、相撲を第一に生きているなと思います。優勝回数は更新されても「相撲人」としては白鵬にも負けないでしょう。
(^_^;)

おじが横綱、父が大関と言う相撲一家だったせいか入門の時から大騒ぎされたのは珍しかったです。今の遠藤くんの比ではないくらいに大々的に騒がれていましたから。

ただ、アイドルとしてではなく、本来の力士として実力で地位と評価を勝ち取ったのは尊敬に値します。

ご指摘の通り、晩節は汚してしまいました。あの生真面目ぶりが災いしたのでしょう。結果論、あの長期休場の間に朝青龍の台頭と暴走が始まりましたから…
(^_^;)

投稿: 力三郎 | 2014年11月11日 (火) 09:25

 力三郎さん、どうもです (^_^)/

 私は貴乃花という人物をあまり評価していないので、コメントのしようがないのですが、朝青龍については高く評価しています。

 あの逸材をつまらない理由をこじつけて角界から追い出してしまった事を、私は今も残念に思っています・・・ (ノ_-;)ハア…

 朝青龍は、デストロイヤーではなく、間違いなく協会にとっての救世主だったはずなんですがね(苦笑)

投稿: 夢ピ | 2014年11月11日 (火) 20:57

この意見に全面的に賛成です。
あの事故の直後に、羽生結弦を滑らすなんて全くの愚行だと思いました。
貴乃花の件も同様です。
基本的に日本のスポーツは、自己犠牲と根性論、そしてそれの美化なんです。
パッと咲いてパッと散るその潔さ、なんていものに価値を置いているうちは、選手も使い捨てですし、長期的な戦略なんてものは、出てこないです。
バカな話だと思います。

投稿: メイの家 | 2014年11月15日 (土) 17:17

 メイさん、ありがとうございます m(_ _)m

 同じ意見を持つ方がいるのは心強い限りです (^_^ゞポリポリ

 毒舌の多い私のブログですが、必ずしも独り善がりなだけではないと思うと、励みになります (^^;

投稿: 夢ピ | 2014年11月15日 (土) 19:59

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